鉄板の上の幸せ
かれこれ関東に引っ越してきてから19年経ったようなのですが、その19年住んだ実家ととうとうサヨウナラです。
小学校は転校転校でこれで三校目。一番近くて通学が楽だなと思ったのを今でも覚えている。
団地住まいから借り上げマンションへ変わり、エレベーターがあることも嬉しかったし、ベランダが広く、何より自分の部屋も初めてできた。
四畳半のベランダにプールを出したり、リクライニングアウトドアチェアで昼寝をしたり、夏は遠くの花火を見ながら焼き肉をしたり。都会のわりにアウトドア感のある生活だったな。
それから地元の中学へ通い、線路向かいに別の中学校が見えるのにわざわざ学区の端に住んだがばかりに2km以上毎日歩いた。
高校も自転車で通える範囲だった。専門まで変わらずそこにいた。
就職と同時に家を出たけれど、単車を飛ばせば15分、電車に乗ってもドアtoドア30分の距離だった。
近いわりには帰らず、旅行の度に親に頼り、部屋の片付けを手伝ってもらったり。
そんな距離からサヨウナラなのだ。
さすがに小学校からハタチまで寝起きをした場所なので名残惜しいし、しかしよくよく考えたら実家を出て10年経ったなということも自覚して。
ぼんやりと
『今』は続かないんだなぁ…
と考えてしまったのです。
今年は祖父の急逝や、一家揃ってお世話になっていた恩師の他界と、私の趣味や人脈を広げるきっかけとなった青春の恩師の他界と
こうやって第二の故郷から去りゆくことと
ライフスタイルの変化から希薄となる交友関係や昨年の職場異動…
己の加齢、身近な人々の老いを実感することばかりです。
30代前半で両親を亡くした友人の話を聞いたりする機会もあり、いつまでも自分の親が元気とも限らないのだと、
最近、立て続けに急病で退職を余儀なく去っていった同僚を見て思ったり。
変化してしまえば、それは危惧していた程辛いことではないのでしょうが、安定していたものが動くのはやはり怖いものです。
それもきっと甘えなんでしょうね。
アラサーとなって、特に婚姻予定も希望もない身としては、これからの身の振り方もまた考えなければならない。ああ、面倒くさい。
まいにち
まいにち
僕らは鉄板の上で焼かれて
イヤになっちゃうよ
私は変わらない日々の送れる鉄板の上も、それはそれでまた幸せではないのかと思う。
海に飛び込んで逃げるのもまた一興。
私は、後悔しない人生をおくりたい。